谷口雅春著 「無門関解釈」 第十六則を読む
さて、禅宗第一の書「無門関」の解釈本、「無門関解釈」の紹介、
今回は、第十六則です。
解釈文だけにすると、分かりにくい部分もあるので、本文も載せることにします。
さて、
第十六則 「鐘聲七條(しょうせいしちじょう)」
雲門曰く、世界恁麼(せかいいんも)に廣闊(こうかつ)たり。
なんによってか鐘聲裏(しょうせいり)に向かって七條を披(き)る。
<解釈文>
雲門和尚のことは前の第十五則に述べたが、「世界はこんなに広々としている。
それだのに何のために鐘の音がゴーンと鳴ると坊主どもは七條の袈裟(けさ)
を掛けて法堂へ出るのか」と、一語実に人の肺腑(はいふ)を突く概(がい)がある。前則
にも明らかな通り、雲門の一字関と称して、雲門は一語
急所を示す言葉を提示することによってよく後進を悟らしめるに妙を得た。
それと言うのも雲門自身が、初め睦州道蹤禅師(ぼくしゅうどうしゅうぜんじ)に
参じたとき、睦州に、「道(い)え、道(い)え、道(い)わざれば門に入れず」と
三度門から突き出され、三度目に足が門の戸へはさまって足を挫折した
その拍子にハッと大悟したと言う人だけあるので、他の人を悟らしめるにも同様の
筆法を用いる傾向があったものである。今の時代ならば、
「世界は広いのにラッシュ・アワーが来ると何のためにあの狭い電車に
乗ろうとして、狭いところへ鈴なりになっているのであるか」と言う問いと同じ
ことである。 -
いかがでしたでしょうか。「悟りに導く急所を突く」
その一人に、相田みつをさんがいらっしゃると思います。
「アノネ 人間にとって一番大事なものはなにか?
そこを原点として考えてゆけばあとは自然にわかってくるよ」
大事なものは、いつも心の中にあります。