貞観政要(じょうがんせいよう)を読む
今回も、中国古典を取り上げたいと思います。
中国古典は、「真理」への入り口として、又、時には真理の奥義が書いてあり、
とても、良いテキストなので、たびたび登場すると思います。
名君の誉れ高い唐の太宗(李世民・在位626年~649年)と、それを補佐した
名臣たちとの政治問答集です。
わが国では、北条政子、徳川家康、明治天皇が、愛読したことで、知られています。
現代に、特別な人物を除いて帝王学が必要か?という疑問をお持ちの方も、
いらっしゃると思いますが、国民の各個人が何らかの権利や、権威を有した
「小帝王」と化していると思われる、民主主義の現代日本社会では、
帝王学のようなものも、ためになるのではないかと思います。
貞観政要40篇を貫いているテーマは、「守成(守り)」です。
代表的な言葉に、
「草創(創業)と守成といずれか難き」
という言葉があります。
太宗が、この問いを、側近の者に発したところ、国をつくり上げる初期のころから
付き従っていた宰相の房玄齢(ぼうげんれい)は、「創業こそ困難であります」と
答えました。それに対して、側近ナンバーワンの魏徴(ぎちょう)が、
「いや、守成こそ困難でありますぞ」と反論しました。
この話を分かりやすく言えば、ブログを立ち上げるのは簡単だが、継続するのは、
難しい。というのと似ています。
名君・太宗は、バランスをとって、「両名の申すこと、それぞれにもっともである。
しかしながら、創業の困難はもはや過去のものとなった。今後は、そちたちとともに、心して守成の困難を乗り越えていきたい」と述べています。
国の存続に重点をおいたこの書を愛読した、北条政子の生きた鎌倉時代が、約140年。
徳川家康の江戸時代が、約260年続いたことは、偶然でないようにも思えます。
たまには、気分を変えて、帝王学でもいかがでしょうか?