山本七平著 「空気の研究」を読む
「空気の研究」の「空気」とは、「空気を読め!」と言う場合の「空気」のことです。
山本七平氏は、思想家・評論家として、活躍しました。「空気」の発見者の一人です。
「空気」という概念は、日本にだけ存在するものではありません。外国では、
「プネウマ(霊)」と呼ばれています。
山本氏によると、「空気」は、戦時中にも存在しており、戦艦「大和」の特攻の際も、
その場に、専門家が幾人もいながら、最終決定は、「空気」によるものであった。
というようなことを述べています。
山本氏は、この「空気」が、人工的につくられた時の例をあげ、
「『空気』が、どのように醸成され、どのように作用し、作用が終わればどのように
して跡形もなく消えてしまうのであろう」ということを探求しました。
そして、「われわれは常に、論理的判断の基準と、空気的判断の基準という、
一種のダブルスタンダードのもとに生きているわけである。そしてわれわれが
通常口にするのは論理的判断の基準だが、本当の決断の基準となっているのは、
『空気が許さない』という空気的判断の基準である」とし、
「空気」による最終決定が、危険を招く例をあげ、警鐘を鳴らします。
山本氏は、また、「空気」の絶対支配に、「水を差す」ことの重要さを説いています。
「K・Y」が、いつか、「空気が読めない」ではなく、「空気は読まない」という
意味になる日が来るでしょうか。