小林秀雄でさえも読めなかった「時代」
故小林秀雄さんの「考えるヒント」を読んでみました。
良い本なのですが、実は、冒頭の「常識」という話は、科学の進歩が、小林氏の
予想をはるかに上回っていることを実証してしまいました。
どういうことかと言うとー
小林氏は、この話で、「将棋を差す自動人形」なるものを登場させます。
人々と将棋を差し、連戦連勝の自動人形。時は、十八世紀の中頃、
場所は、西ヨーロッパです。
小林氏は、この自動人形が、こんなにも約束事の多い将棋というゲームで、
人間に勝つということは、自動人形の中に、人間が入っているとしか考えられない。
それが、常識と一致した結論であるとしました。
小林氏が文を書いたのは、1959年頃です。
翻って、現代では、ご存じの通り、AIを搭載したロボットが、トップ棋士たちを、
次々と打ち破っていきました。われわれの記憶に新しい出来事です。
天才・小林秀雄でさえも、読めなかった科学の進歩。
私たちは、「キセキの時代」に生きているのかもしれません。