8まってる

私が、今、ハマっているものを、紹介いたします。

丹羽隼兵著 中国古典百言百話3「三国志」を読む

さて、今回は、「三国志」です。小説の方では、ありません。

三国志」の物語の中の言葉や、エピソードを集めた本です。

三国志」には、小説等になって、若干、虚構も含まれている「演義」と、

史書である、「正史」とがあります。

三国志正史」は、晋代の史家、陳寿(チンジュ)が著したもので、

史記」「漢書」「後漢書」に次ぐ、四番目の正史です。

本書は、「正史」の内容を中心に関連ある人物の言葉を、引用して、

構成したものだそうです。

劉備」や、「孔明」「関羽」「張飛」「曹操」「孫権」等、

魅力あるキャラクターが、キラ星のごとく、登場します。

では、まず、

「呉下の阿蒙(アモウ)」から。

「われ、おもえらく、大弟ただ武略あるのみ、と。

今に至りて学識英博、また呉下の阿蒙にあらず

あるとき、先輩の将軍、魯粛(ロシュク)が呂蒙(リョモウ)を訪れ、

議論をかわしてみて驚いた。終始、魯粛の方が押されっぱなしなのである。

魯粛は、呂蒙の背をたたいて言った。

「きみは実戦だけの人物と思い込んでおった。いつの間にか、

えらい博識ぶりだ。いつまでも《呉の蒙ちゃん》扱いは、できんわい」

昔のままで進歩のない人間を「呉下の阿蒙」というのは、これにもとづくそうです。

私の小学校のころの校長先生が、朝礼の時、この話をしていたので、印象深いです。

続いて、

「死せる孔明、生ける仲達を走らす」です。

諸葛孔明(ショカツコウメイ)と司馬仲達(シバチュウタツ)が対決した

五丈原の戦いは、ほとんどにらみ合いに終始し、対峙すること百余日、

ついに孔明は陣中で没する。

蜀(ショク)軍は、ひそかに撤退に移った。

この動きは、土地の者によって仲達のもとにもたらされる。

仲達は、すぐさま追撃したが、蜀軍がわざと旗の向きをかえ、

出陣の太鼓を鳴らして反撃の態勢をとると、あわてて逃げ戻り、

もはや近づこうともしなかった。これをみた土地の者たちは、口々に言いあった。

「死せる孔明、生ける仲達を走らす」

仲達は、このエピソードにより、「臆病者」のイメージがついてしまったのですが、

持久戦により、勝利を得るというのは、「孫子」の「戦わずにして勝つ」という

兵法にのっとっており、上策といえます。

「正史」は、「演義」ほど、派手では無いのですが、

リアリズムを追求するあなたに、おすすめの一冊です。